障害年金と老齢年金の併用は可能か?

2018-09-21

もともと障害年金を受給していた人が65歳以上になると、老齢年金の受給資格にも該当するようになります。両方から年金を受け取ることができれば、当然のことながら受給金額は増えますので、嬉しいですよね。しかし、そもそも複数の制度から併用して年金を受け取ることはできるのでしょうか。

ここでは、障害年金と老齢年金の併用が可能かどうかについて解説します。

1人1年金の原則

残念ながら現在の日本の制度では、国民年金、厚生年金、共済組合などの公的年金のうち、複数の受給資格に該当する時には、いずれか1つの年金のみを選択して受給することが原則となっています。これを1人1年金の原則と言います。

逆に言うと、受給の理由が同じもの同士であれば、複数であっても受給が可能ということです。例えば、遺族厚生年金と遺族基礎年金、老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害厚生年金と障害基礎年金などの組み合わせです。これらは、2階建て年金として併用して受給ができるということになります。

1人1年金の原則に則って年金を選択すると、選ばれなかった年金は支給停止となります。但しこの際、受給資格自体が消滅するわけではありません。あくまでも支給停止になるだけなので、後から選択を変えることは可能です。

また、選択は本人の自由な意思に任されています。そして併用受給や選択受給をする場合には、管轄の年金事務所に「選択申込書」というものを提出することが必要になります。

障害年金と老齢年金の併用について

前述の1人1年金の原則に沿って考えると、障害年金と老齢年金は併用ができないことになります。しかし、1人1年金の原則には例外もあります。結論から言うと、障害年金と老齢年金の組み合わせであっても、併用して受給することは可能です。

具体的に、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせで併用受給ができます。

平成18年までの併用の仕組み

実は平成18年までは、1人1年金の原則通り、障害基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて併用受給することは認められていませんでした。老齢基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせか、障害基礎年金と障害厚生年金の組み合わせのみだったのです。

しかし、障害基礎年金を受給しながら会社員として働き、厚生年金保険料を支払っている人も中にはいます。このような人にとって、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせができないということは、厚生年金保険料を支払っていること自体が無駄となります。

大きな不公平感が生じる結果となっていました。こうした問題を受けて、平成18年4月からは、障害基礎年金を受け取っていた人が65歳以上になった時には、老齢厚生年金も併せて受給することができるようになりました。

ところで、障害基礎年金と老齢厚生年金の両方において、子供に対する加給年金の受給要件に該当する場合には、両方から受給することができるのかどうかについても気になるところです。加給年金というのは家族手当のようなもので、年金の受給要件を満たしつつ子供や配偶者の生計も維持している時に、通常の年金額に加算して支払われるものです。

この加給年金についてですが、併用受給は認められていません。

障害基礎年金における加給加算が優先されて、老齢厚生年金においては加給加算はされないことになっています。

他にも併用受給できる組み合わせが!

障害基礎年金と老齢厚生年金という組み合わせであれば、1人1年金の原則に反して併用が可能ですが、これと同じように、支給事由が異なるにも関わらず併用できる組み合わせは他にも存在します。例えば、障害基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせでも併用受給が可能です。

また、老齢基礎年金と遺族厚生年金も組み合わせることができます。遺族厚生年金をもらっている人が65歳以上になれば、自分の分の老齢基礎年金を受け取ることができるのです。同じようなケースで、遺族年金をもらっていて、さらに自分が厚生年金に加入していたという場合には、65歳以上になった時に、遺族厚生年金と老齢厚生年金の組み合わせで受給ができます。

但しこの場合では、両方の年金を全額受給できるというわけではないので注意が必要です。次の2つのパターンを比べて、いずれか金額が多い方の組み合わせで受給することになっています。1つ目のパターンは、「遺族厚生年金の支給額」です。

そして2つ目のパターンが、「遺族厚生年金の3分の2の金額と老齢厚生年金の2分の1の金額を合計した金額」です。

この2つを比較して、2つ目の「遺族厚生年金の3分の2の金額と老齢厚生年金の2分の1の金額を合計した金額」の方が多かった場合には、まずは老齢厚生年金から全額が支払われます。

その後に、支給すべき年金の全額との差額分が、遺族厚生年金から支給されます。

年金以外の公的制度との併用受給は可能か?

会社員として勤務していると、業務に伴う事故などでケガや病気になった時には、労災保険の給付を受けることができます。しかしそれと同時に、障害年金など公的年金の受給資格にも該当することがあるでしょう。この場合には、調整があるものの併用して受給でき、まずは公的年金が全額支給されます。

そして、労災保険は減額調整された上で支給されることになっています。また、健康保険との調整が行われるケースもあります。例えば、ケガや病気で会社を休んでその間の給与が支払われないという場合には、健康保険から傷病手当を受け取ることができます。

ここで、その会社員がもともと障害年金を受給しているのであれば、両方の受給資格に該当することになります。しかし実際には、複数の同時受給は認められていません。原則では、年金の方が支給されて、傷病手当は支給されないのです。

但し例外もあります。1日あたりの年金額と傷病手当金を比較した際に、傷病手当金の方が金額が多い時には、傷病手当金が支払われることになっています。ところで、この傷病手当金というのは健康保険から給付されるものです。

フリーランスや自営業者などが加入している国民健康保険からは、傷病手当金の支給はそもそも行われません。また、健康保険の被保険者本人のみに受給資格があるものであり、妻や子供にまで受給資格が及ぶことはないために、注意が必要です。

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iDeCoと厚生年金の併用は?

iDeCo(イデコ)という制度をご存知でしょうか。これは、個人で加入することができる年金制度のことです。加入者が自身で金融機関を選び、掛け金を払って運用します。そして、得られた利益を年金として受け取ることになっています。

このiDeCoには、いくつかの税制上のメリットがあります。1つ目は掛け金として支払った金額を、全額所得から控除できるという点です。次に2つ目は、運用で得られた利益に税金がかからないということです。そして3つ目は、将来年金を受け取る際に、控除制度を利用できるという点です。

こうしたメリットがあるために現在注目を集めつつあるiDeCOですが、厚生年金など公的年金制度との併用は可能なのでしょうか。この点、iDeCoは個人で加入する年金制度です。ですから勿論、厚生年金の加入者でも利用ができます。

iDeCoを利用できないケースは、次の条件に該当する人だけです。それは、年齢が60歳以上か20歳未満の人、海外に在住している人、そして国民年金保険料が未納の人です。これら3点に該当する人は、iDeCoに加入することはできませんので、あらかじめ留意しましょう。